この世でたった二人、大切な実の姉妹。

 しかし、お互いに譲れない時だってあり、もちろんケンカもする。

 姉は威厳のため。妹は照れ隠しのため。

 今もまた、二人の戦いが始まろうとしている、そんな第二話です。



「ふっ……九十九戦零勝九十九敗……そろそろ勝たせてもらうわよ、ヒナ」

 お互いに間合いを計る桂姉妹。放出されるすさまじい剣気に、ライトがチカチカしてます。


 一瞬の静寂。その後に、

「あっ!! 綾崎君……!!」

 そう言って力いっぱい窓の外を指差す雪路さん。

「えっ!? ウソ……!」

 何かに操られるかのようにそちらを見るヒナギクさん。なんだか顔がめちゃめちゃゆるんでます。
 そして雪路さんはというと、

「スキありぃぃぃ!!!」

 無防備な妹にスパコーンと面の一撃。あ、ちなみに得物は誰かの都合でいつのまにか竹刀とすりかわっているので、グロい事にはなりません。
 崩れ落ちる妹に、姉は優しく言います。

「私の勝ちだし、今月ピンチだから、まあ、一万円くらい……」

 ちょっと涙目で「ずるい……」とか言いながらもしぶしぶ財布に手を伸ばすヒナギクさん。

 こうして雪路さんの姉としての威厳は保たれ、給料日までを無事に過ごす事が出来たそうです。


 めでたし、めでたし。











 ……と、こんな感じのすばらしいプランが、雪路さんの脳内で組まれていました。



(ふっ……ヒナ、悪いけど勝たせてもらうわ……)

 頭の中でプランを再確認し、夜神月よろしくニヤリと笑うと、力いっぱい窓の外を指差して叫びました。


「あっ!! 綾崎kがはぁ!!」

 現実は厳しい。

 結局最初の一言を言いきることすらできず、雪路さんは吹っ飛ばされていました。

「ぐふう……絶対引っかかると思ったのに……」

「そんなのに引っかかるわけないでしょ!!」

 とか言いつつ顔は真っ赤なヒナギクさん。「危なかった……」とかぼそぼそと呟いてるのは女の子の秘密。

 そんな妹を横目に見つつ、ゆっくりと雪路さんは立ち上がり、言いました。

「まだまだ……勝負はついてないわ」

 どう考えても負け惜しみとしかとれないことを言う姉に、妹は言い返します。

「何言ってるの? 完全に私の勝ちじゃない。負け惜しみは見苦しいわよ、お姉ちゃん」

 しかし、いつもならこんな事を言われると、
「うるさいうるさ〜い!! お姉ちゃんをバカにすんな〜!!」と幼稚園児にもバカにされそうなことを言う雪路さんですが、今回はそれに反応した様子も無く、不敵な笑みを浮かべて続けます。

「フフフ……それは、どうかしら……?」

 さてさて、まだまだ負けを認めていない雪路さんですが、何やら切り札があるご様子です。




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