「ハヤテは私を何度も助けてくれたんだぞ!! 誘拐犯とか、変なロボとか……!!」
「そ、それを言うなら私だって!! トラから助けてくれたり、自転車で転びそうなところを助けてくれたり……!!」


「また始まりましたね……」
「あの、マリアさん?」
「はい?」
「止めなくていいんですか?」
「ああ、桂さんは知らないんでしたね。このくらいは二人が会ったら日常茶飯事なんですよ。だから止める必要は無いんです」
「はあ……そうなんですか」
「ええ。それに……」
「それに?」
「二人とも、楽しそうじゃないですか」


「私なんて、ハヤテ君が転校する前はお弁当を作ってあげたりしてたんだから!!」
「なっ……! い、いや、私だって手料理をご馳走したぞ! ハヤテが風邪で倒れた時、おかゆを作ってやったんだ!! 隠し味に油を入れたら、美味しそうに全部食べてくれて……」
「ウソだっ!!」


「……楽しそうですか?」
「ええ」
「そうですか……でも、おかゆに油を入れるなんて、さすがはナギ……」
「まあ、ハヤテ君が全部食べたのは一応事実ですけど……」
「え、食べたんですか?」
「さすがに無理をしてたみたいですけどね。油だけじゃなくて、洗剤も入ってましたし」
「…………」


「そ、そうだ! わ、私にハヤテは『世界で一番大事な人』だって言ってくれたぞ!!」
「え!?……わ、私だって、嫌いなわけじゃないって言われた……」


「あら、ちょっとナギの方が優勢になってきましたね」
「……ハヤテ君、ナギに本当にそんなこと言ったんですか?」
「ハヤテ君にとってナギは一応、借金まみれでヤクザに追われていたところを助けてくれた相手ですし……」
「ああ、なるほど」


「私のことを守るとも言ってくれたし……そうそう、いくら嫌われても僕がお嬢様を大切に想う気持ちに変わりは無いとも……」
「う……ううう……」


「ナギったら、決めにかかってますねー……」
「ハヤテ君、そんなラブコメみたいな台詞まで……?」
「まあ、ハヤテ君ですからね……」
「なるほど。あ、歩が……」


「きょ……今日のところは引き下がるけど……次は負けないんだからーーー!!!!」


「あー……逃げちゃいましたね」
「歩って私と話すときは会話のペース握ってる感じなんですけど、なんだかナギには弱いみたいなんですよね……」
「へえ……そうなんですか。……ところで、『次は負けない』ってことは……」
「…………」
「…………」
「……えっと、私はこれで失礼します。……歩!! 待ちなさーーい!!」
「……はい、ご苦労様です。……ふう」


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