「母の日、ね……まあね。某二月十四日と同様、企業戦略の一言で説明できてしまう面があるのは否定しないわ。
 でもね、考えてみてほしいの。どうしてこんな見え見えの企業戦略に、みんな乗せられるのか?
 いえ、本当に乗せられているのかしら? 『自ら』乗っているのではなくて?
 つまりね霊夢、そういうことなのよ。この日はね、『口実』のための日なの。
 好きな相手だったり、母親だったり……普段は気持ちを現しにくいからこそ、そういう相手に対して、この日を『口実』にして、本当の気持ちを伝えることができる。
 霊夢も最近ちょっとお金が余っているでしょう? ええ、余っているはずだわ、絶対に。だからね、せっかくだから乗ってみるのもいいんじゃない? だって、一年に一度しかない日なのよ? この日を『口実』にして、気持ちを表すことができるのよ? 気持ちを表すことができるのよ?」


 ──愛が重いって感じること、ありませんか?
 なんだかもうね、まいってしまう。「気持ちを表すことができるのよ?」って言われても。二回言われても。そのクエスチョンマークは何だろうね。説明するだけなら句点で終わればいいと思うけど、クエスチョンマークってことは、何か返答を期待してるんだよね。うん、わかってる。
 と、言葉による返答の代わりに、尻尾を力いっぱい振る犬に向けるような目を向けていてやると……紫はわかったような顔で、キザったらしく首を横に振る。「ふう、まったくわかってないわね……」
「……なにが?」
「いいかしら、霊夢。この世には、二つのことがあるわ。知るべきことと、知るべきでないこと。あなたは知るべきことを知っていない。だから私が教えてあげる。
 霊夢、私は母の日が好きよ。
 霊夢、私は母の日が好きよ。
 霊夢、私は母の日が大好」


 私は意識の中から紫の声をカットした。アーアー耳には聞こえるけど脳には聞こえない。
 ……知るべきことと、知るべきでないことか。たしかにこの世には、知るべきことと知るべきでないこととがあるのだろう。私にだってそのくらいはわかる。

 ──プレゼントをちゃんと用意した子が、いざというときに躊躇って猫のようにツンツンしてしまうのが好きよ。

 だいたい一週間くらい前からになるだろうか。紫が毎日深夜に神社へとやってきて、人目を恐れてか辺りをキョロキョロ見回しつつ、賽銭箱に大量の金額を入れるようになったのは。

 ──本当は好きなのに素直になれなくて、友達に相談する様なんて絶頂すら覚えるわ。

 その後、口に両手を当て、実に楽しそうに「うふ、うふふ、うふふふふふふふ」とくぐもった笑い声を漏らしていたというのも、おそらく知るべきでない……いや、知るべきでなかったことにカテゴライズされるのだろう。

 ──霊夢、私はちゅっちゅを、地獄のようなちゅっちゅを望んでいる。

 ところで先ほど紫の言ったとおり、今は普段よりもはるかに神社の財政は潤っている。しばらくの間、私の食事とお茶っ葉は、三段階ほどレベルアップしていてくれることだろう。
 で、そろそろ紫の演説も終盤の雰囲気なので、意識を外に戻してみる。


「よろしい、ならばちゅっちゅだ」
「え?」
 どんな流れかよくわからないけど、とりあえず紫は有言実行だった。普通に私に迫ってきていた。MAJIでKISSする5秒前だった。でもちょっと待つんだ。これはさすがに危うい。だって母の日だ。これは母の日のお話だから、紫は母的ポジションのはずだ。つまり、このお話の中でのちゅっちゅは近親……いや、それは字面がよくないだろう。とりあえずここでは親近感(仮)としておこう。親近感(仮)はまずい。

「だが断る」

 私は叫んで、紫に思いっきりアッパーカットを食らわせた。思いっきり食らって吹っ飛んだ紫が着地する前に私は反射的に「ちょっとそこまで!」と踵を返してお花畑に向かっていた。どうでもいいけど、この流れで『だが断る』は『親近感(仮)はまずい』を断ってちゅっちゅに走ったようで危険な香りがするので、そういう意図がまったくないことを念のため補足しておこう。

 さて、お花畑ことトイレに駆け込んで扉を勢いよく閉め、鍵をかけ、何をするのかと言うと、用を足すのではない。作戦タイムである。麻雀から足を洗ってそこそこの時間が経つけれど、相手に不穏な──麻雀に関して言うならば、イカサマの──気配を感じたらとりあえずトイレに行って作戦を練るというこの癖は、まだ残っているらしい。
 懐かしいものだ。紫と組んで、全国の強者を相手取り戦ったあの頃。最後まで勝負がつかなかったあの男── 国 士 無 双 十 三 面 ( ラ イ ジ ン グ サ ン ) の使い手は、しばらく前に外の世界でとてもとても偉い立場になり、今では表に出ないどこかで世界平和のために戦っているらしい。
 思えば、あの頃が一番楽しかったかもしれない。紫と共に、まだ見ぬ強豪たちを探して回ったあの頃……。


 私は、扉の外に紫の気配が無いのを確認し。懐からその箱を取り出してみた。箱には綺麗なリボンが結び付けられていたけれど、衝動的に解いて、邪魔くさいのでトイレに流してしまった。今はとにかく、その中身が見たかった。
 そうして現れる小箱。深みのある青。ふかふかして、ちょっと慣れない高級感のある素材。この箱って何でできているんだろう。たかが、なんて私が言うのもおかしな話だけど、『これ』を入れるにしてはおかしな箱だと思う……そもそも、『これ』をここまで大事に扱う人なんて、あまりいないだろう。

 少し力を加えると、パカッと気持ちのいい感触とともに、箱が開く。
 中に収められているのは、一つの麻雀牌。母の日のプレゼントとして用意した、白地に紫色で彫った『中』の牌だ。
 これに込めた意味なんてのも多少あるんだけど、それは受け取る側の解釈にお任せしよう……ただまあ、ちょっとだけヒントを出すならば、普通の『中』の牌は、白地に赤く「中」の文字を彫ったものだ。
 白に赤。すなわち紅白に、まるで博麗の巫女のような、中立を連想させる「中」……だけどこれは、「中」の文字を紫の染料で彫っている。つまり、普段は中立の紅白だけど、紫色に染められ……おっとヒントはこのくらいにしておこう。
 まあ、ちょっと婉曲的すぎるかなー。これじゃ紫もわからないだろうし、うん、場合によってはさりげなーくヒントを出してやるのもやぶさかではない。ふふ、ふふふ……。


 ……こほん。
 で、まあ、紫のやつはなんだかバカをやっていたみたいだけど。あいつが入れたお賽銭は、お茶やお菓子には容赦なく使わせてもらうにしても、これには一切使っていない。と言うより、これに関しては、お賽銭そのものをまるっきり使っていない。
 これは、今日までコツコツ、雀荘でバイトをして貯めたなけなしのお金で買ったものだ。なんとなく、そうしたくなったのだ。

「……はあ」

 しかし、なんだかなあ。なんだろうね。
 で、それで、なんでこんなことになってるんだろう。洋式便座に腰掛けて、頭を抱えているんだろう。
 胸を張って、ぽいと渡してやればよかったのに。直球勝負でよかったのに。
 それなのに、結局、躊躇ったんだと思う。今回の母の日では、私にはとある『野望』、目標みたいなものがあって……そのせいだろうか、真っ向勝負がちょっと怖くて、なんだか自分でもよくわからない変化球で攻めた。


 ──そういえば今日って母の日だっけ。みんな何か渡したりしてるのかなあ。でもさ、こういうのって、なんか企業戦略に乗せられてるみたいな感じがするわよね。もうちょっと、そういう、感謝を伝えるみたいなのって、普段からやればいいじゃない。ねえ紫、なんでこんな日あるんだろ。結局さ……母の日って、なんなんだろうね?


 そんなぐにゃぐにゃ変化球を投げたわけだ。
 その結果がアレだ。「気持ちを表すことができるのよ? 気持ちを表すことができるのよ?」だ。K(気持ちを)A(表すことが)D?(できるのよ?) 「KAD? KAD?」だ。

 アホかっ。


(1)そういえば今日って母の日だっけ。
   → 当たり前のように渡す。
(2)みんな何か渡したりしてるのかなあ。
   → なんて言いつつ、まあ私もってことで、なんでもないように渡す。
(3)なんか企業戦略に乗せられてるみたいな感じがするわよね。
   → (笑)ってな感じに茶化しながら渡す。
(4)感謝を伝えるみたいなのって、普段からやればいいじゃない。
   → 紫「普段から感謝を伝えてもらってるような覚えが無いわ……」
    → 私「まあ、だから今、伝えるんだけどね」クールに渡す。


 四回渡せるくらいにチャンスあったじゃないか。だいたい、このチャンスをちゃんと掴んでいたら、『野望』だって簡単に達成できていただろうに……!
 溜息が出る。このぐにゃぐにゃ変化球をぐにゃぐにゃに捕球して魔球化させたのは紫だけど、母の日に何か貰うためのお金を賽銭箱に突っ込むという奇行を見せてもらっちゃってる時点で、投手たる私は捕手にボールを触らせてはならなかったのだ。

「あああああもおおおおおう」

 気づくと私は箱を足元に置き、携帯電話を取り出して、早苗にメールを打っていた。携帯電話。略して携帯である。
 守矢神社の面々が来てからというもの、幻想郷にも現代化の波が押し寄せてきている。もちろん私も現代っ子デビューは済ませている。血のにじむ努力の末、今では両手を使わず、左手の親指だけでメールを打てるようになった。努力なんてほとんどしたことなかったけれど、この達成感、なかなか悪くない……。

「も、う、ゆ、か、り、……えっと、漢字変換……あっくそ出ない。……うー仕方ない、む、ら、さ、き……変換っ。よしさすが私。えっと次……の、や、つ、っ、て、ば……」

 そんな感じに、十分くらい経っただろうか。『もう紫のやつってば、なんでもっとおしとやかに待ってられないのかしら。犬みたいにがっついちゃって』というメールを早苗に送り終えて、私は一息ついていた。

 携帯の使い方を教えてもらったのをきっかけに、早苗とは以前よりも仲良くなった。メールでは、私は紫のことを話したり、早苗は向こうの神様のことを愚痴ったりする。魔理沙みたいな共通の友人について語ることもあるけれど、どちらかというと、お互いの身近な存在についてお喋りすることが多い感じだ。
 と、早くも返信があった。早苗の返信の速さは、ちょっとおかしい。さすがに現人神といったところだろう。

『母の日のプレゼントですか? だめですよ、ちゃんと渡さないと!』

 びくりとする。あまりにも鋭い。まさか、バレてるのだろうか。「ち、が、う……変換! わ、よ……」と返信を打ちながら、数日前のことを思い返す。
 特注品であるこのプレゼントを店に受け取りに行ったとき、私は──ああ認めよう、恥ずかしかったんだろう。博麗霊夢が八雲紫へのプレゼントを買う現場を目撃されないように、変装していた。着慣れた巫女服を脱ぎ捨て、「いやあ、なんだか友達が着たがっててね……」と適当に理由付けて早苗から巫女服を借り、変装していたのだ……!

 ……それで話が終わるなら、変装した私が何の問題もなくプレゼントを買えただけということになる。でも、世の中そう簡単にはいかない。
 周囲に気を配りつつ、「あ、あの、麻雀牌のオーダーメイドをお願いしてたんですけど……」と私が引換券を渡した店員は、なんと、東風谷早苗その人だったのだ。
 そのときの私の驚愕は筆舌に尽くしがたい。世界はなんて狭いんだ──それだけ思って、意識を手放しそうになった。なんとか堪えた。大丈夫、私はいつもの私じゃない。早苗の巫女服で変装してるんだから大丈夫……! それが心の支えだった。

 早苗はニッコリと笑った。営業スマイルだろう。「ええ、ご注文の品ですね。少々お待ちいただけますか?」と奥に引っ込んでいき、小さな箱を持ってきた。この時点では、箱は普通の小さいダンボール箱だった。いまここにある、高級感溢れるようなやつじゃあなかった。箱を開けて、中に牌が入ってることを確認した。でも、これで終わりではなかった。もう一ラウンド残っていた。

「す、すみません」
「はい」
「母の日のプレゼントなので、その……ラッピングとか……」

 蚊の鳴くような声で言った私に、早苗はニイイイイィィィッッッコリと笑った。営業スマイルだろう。
 営業スマイル。私はこれがどうしても苦手だった。雀荘でバイトしてた頃、本走で入っても、「御無礼」「御無礼」「御無礼」「御無礼」「御無礼」「御無礼」とキメることしかできなかった。営業スマイルができていれば、もう少しカモ……お客さんを繋ぎとめることができていたんだろうか。

 そんなちょっとした郷愁に浸っているうちに、紫色の『中』の牌を入れる箱は、えらく豪華になっていた。いま私の足元にある、高級感溢れる箱だ。こんなにかっこよくしてもらえるものなのかと、私は少し感動していた。普通ラッピングって言ったら、元のダンボール箱を包装紙で包んだりとか、そういうものだと思っていたけど……。

「わあ、こんな綺麗に……あ、ありがとうございます」
「お客様、頑張ってくださいね。この箱で渡せば大丈夫です。ちょっとしたものですけど、お世話になってますし、サービスです。絶対にこの箱で渡してくださいね!」
「は、はい!」

 ──と。
 脳内記憶の再生を、ちょっとそこで止めてみる。
 考えてみると、だ。……考えてみると、早苗は何を応援していたんだろう。それに、絶対にこの箱で渡せというのは、どういう意味だったんだろう。
 早苗とのメールは続いている。子供の日に何もしてもらえなかったという、早苗の愚痴を聞き終えたところだ。話を変えるついでに訊いてみようか……? いやいや、ここでそんなことを訊いたら、私があのときの客だったのだと自らバラしているじゃないか。
 けれど、それについて考える時間はなかった。ドアの外から感じる、廊下を駆ける気配。それがトイレの前で止まる。

「霊夢、入れて! 待ってたけどもう限界なの! 霊夢、入れてぇぇぇ……」

 紫の悲痛な叫び。携帯で時計を見てみると、私がトイレに入ってから二時間が経過しているのがわかった。メールで友達と話してると時間を忘れるよね。
 さて、しかし油断はできない。「開けて」でなく「入れて」である。「入れて」ということは、このトイレを博麗霊夢のスペースとした上で、そのスペースに「招き入れて」という意味合いであり……なんてこった、親近感(仮)コースまっしぐらじゃないか。

 うん、今日という日の『野望』のためにも、ここらで先制攻撃しておくべきかもしれない。上下関係をはっきりさせるのだ。
 私は携帯を閉じて懐にしまい、左拳を腰だめに構えた。右手で素早くドアのロックを解除。ノブを回し、ドアを開く──と同時に「ふんっ!!」そこにいる紫の鳩尾に拳を叩き込んだ。「ごふっ」完全に入った感触があった。

「れ……霊夢、なんで……」
「念には念を……ううん、『入れて』って言うから、一発『入れて』あげたってところかしら……。まあいいわ。私のことは気にせず、存分にいたしなさい」
「いや……ちょ……なんかいろいろ……出そう……」

 這いずるようにトイレに入っていく紫を見つつ、あーでも本気でやろうと思ったらこいつなら隙間使えば楽勝だったんだなーと思う私は、どうやらいつのまにか、平常心は取り戻していたらしい。
 どこからか、自信がむくむく湧いてくる。早苗という第三者へのメールでちょっと息を整えたり、自分のバカさ加減を認識することで、冷静になれたんだろう。
 そうだ、冷静になれば、こんなのなんてことはない。今ならやれる気がする。当たり前のように、なんでもないように、ちょっと紫のことを茶化してやりながら、かつクールに。そしてなにより、素直に。
 このプレゼントを、渡してやれる気が……

「……あれ?」

 懐をごそごそまさぐって、気づく。
 プレゼントが、無い、よ?

 待て待てよく思い返せ。
 私が箱を手にしていたのは、携帯をいじり始める前。では携帯を取り出したとき、あれをどこに置いた?

 ……足元だ。
 とすると、匍匐前進でトイレに入った紫がそれに気づかないわけもなく。


「ふふふ、うふふふふ、なんだ霊夢、さっきの一撃は照れ隠しだったのね」
「ぐっ……」
 なんてことだ。予想外、死角からの不意打ち。水を流す音とかしなかったから、いたしてもいなければ一撃入れられてからそんなに時間も経っていないのに、紫は完全回復して、これでもかってくらいに緩んだ顔で私の前に立っていた。
「この、紫色の『中』……嬉しいわ。霊夢が私のことをそんなふうに思っていたなんて」
「うぐぐぅっ……」

 な、なななななんであの牌に込めた意味が一瞬で見抜かれてるの? もっとこう、「何で母の日にこんなものを……?」って感じでちょっと残念な空気の紫にさりげなーくヒントを出してやって、徐々にデレさせてやる作戦が……おかしい、こんなはずじゃ……!!
 まずい。このままでは完全敗北を喫する予感がする。主導権的な意味で。
 くそっ、負けてなるものか。主導権は私が持つ! それが私の『野望』、母の日の目標……そのためにいろいろ策を弄して、変化球を投げてきたりしたんだ……そう、このお話はゆかれいむじゃないっ! 順番を間違えるな! このお話は、れいゆかなのだっ……!!


「あら、何かしらこれ」
「え?」
 紫色の『中』が収まるよう形作られた、箱の底の部分。
 それが、スポンと上に抜き取られた。そして、箱の中にはまだ何か入っている……?
 二重底……だと……!?

「え、あ、ええ? これって」
「え、え? 何が入って」
 るの、とは言葉にならなかった。
 うん、まあ、そうだよね。コンパクトで、頑丈で、高級感溢れる箱だもんね。指輪以外に入れるものなんてないよね。なんで私気づかなかったのかな。

 で。
 紫が持ってる箱の中身を覗きこもうと、無用心に紫に近づいた私は、いつのまにかがっちり抱きしめられちゃってるわけで。冷静なようでぜんぜん頭が回ってないのがわかるけどわーこれどうしようか。

「ごめんね霊夢……こんなに好いてくれてるとは気づかなくて。霊夢のほうから言わせちゃったわね」
「ゆゆゆゆか、ゆか、ちが、これちが」
「えっ……?」

 抱き締める紫の腕が緩んで。

「ちがう、の?」

 紫の潤んだ瞳と、視線が真っ直ぐ絡み合って。

「ち、が、」
 えええ、紫、なんで、なんで泣くの?
 ──何も考えられないでいたところに、
 いや、まあ、わかるけど、え、あ、ほんとに泣いてる、本気で泣きそうだよぉ、
 ──たくさんの情報が一気に流れ込んできて、
 あ、う、え、あ、うあ、うわわわわうわあっ
 ──結局やっぱり、何がなんだかもうわからなくなって、
「わにゃい」
「れいむぅー!!!!」

 うう、ああうう、ちくしょう、もうどうにでもなれ。
 ちゅっちゅだろうが親近感(仮)だろうが……いや親近感(仮)はさすがによくない!

「だめ、紫、だめよ! そんなことしたら親近感(仮)になっちゃう!」
「霊夢、霊夢、何を言ってるの? 私たち親子じゃないわよ?」
「そういえばそうだったわ!!」
「れいむぅー!!!!」

 そんでもって紫は犬みたいになんだかいろいろやって、私は猫みたいににゃーにゃーにゃーにゃー鳴いてた気がするけどあんまり覚えてなくて、一つ確かなのは、私のれいゆかの野望は打ち砕かれ、結局ゆかれいむになってしまったということなのだった、どっとはらい。


 
 
 
 
 
 




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